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会議室スタッフ通信|学びと交流を深める!『第44回八重洲塾』開催レポート

学びと交流を深める!『第44回八重洲塾』開催レポート


学びと交流を深める!『第44回八重洲塾』開催レポート

テーマは「SDGs:持続発展可能な農業・食品産業に向けて」

「素敵な未来農林水産業への、架け橋」を目指す、株式会社アグリインキュベーターが主催する「八重洲塾」では、SDGsの問題解決について最先端で活躍する方々を講師に招き、新しい時代の姿を模索しています。

2022年前半の八重洲塾では、「農産物および食品の輸出」についての勉強会を行います。人口減少社会に突入した日本において持続可能な農業・食品産業を考えたとき、「輸出」は不可欠といえます。第44回八重洲塾ではJapan potato有限会社・代表取締役社長の田村悠太氏より「サツマイモ輸出の現状と課題」、Wismettacフーズ株式会社 アグリ事業本部 事業開発部 グループマネージャー増田隆裕氏より「青果物輸出の理想と現実、課題解決事例と持続的な体制作り」、宮崎県経済農業組合連合会 香港】事務所長の佐藤憲司氏より「農畜産物等輸出の現状とJA宮崎経済連の取り組みについて」と題して、それぞれご講義いただきました。


田村悠太氏:「サツマイモ輸出の現状と課題」

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父親が創業したさつまいも卸売業に入社し、その後父の急逝によって2007年に代表取締役に就任した田村氏。元々は卸売業として焼酎やかりんとうなど、加工食品の原料となる品種のさつまいもを多く取り扱っていたが、焼酎ブームの沈静化にともなって青果用さつまいもの生産へとシフトチェンジしていったといいます。

「輸出の課題は色々ありますが、輸出はいまコロナ禍によって船、コンテナも少ないことに加え船のスケジュールが乱れ、作業員の方もだいぶ辞めているなど、運送に多大な影響が及んでいます。運送に二週間かかっていたところは四週間など、現在はかつてのおよそ倍かかるというのが現実です。従って青果に痛みが出てしまう確率が増加し、以前よりさまざまな面で気を使い工夫をしていかなくてはいけないという状況です」 学びと交流を深める!『第44回八重洲塾』開催レポート

そのような課題を踏まえたうえで、「海外だから儲ける、というよりは国内だけではなく海外も含めて輸出先の選択肢の幅を広げた結果、数量も伸びて会社が対処できる状況の幅が広がるという想定の方が良いと思います」と田村氏は述べ、今後の展望についても語りました。


増田隆裕氏:「青果物輸出の理想と現実、課題解決事例と持続的な体制作り」

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スーパーマーケットなど青果業を歴職し、現在はWismettacフーズ株式会社で新規アグリビジネス開発担当として、国内外でのFarmingや輸出ブランドマーケティングを手がける増田氏の講義は、日本産青果物の輸出の課題と現状が「負けの構図」であるとの指摘から始まりました。

「現状は『負けの構図』で、日本のイメージに依存したジャパンブランドと表現できるかと思います。日本で流通しているブランドをそのまま世界に持っていくだけで、世界で勝ち抜くためのブランド作りがなされておりません。また、不可能な防御に修しているがため、海外で価値を見出せていない育成者権も問題です。(中略)さらに、日本国内しか見ていない規格基準も課題としてあげられます。世界で戦うための企画作りというものを考えて生産されておりませんので、今あるものをただ持っていき、現地で評価されているだけという現状です。まとめますと、高級志向を謳うが閉鎖的で事業価値が低いジャパンブランドということです」

Wismettacフーズ社で手がけている、輸出品向けの日本産青果ブランド「SUGOI」での「SUGOI Apple」の成功事例から、課題解決に向けた取り組みを紹介。そのうえで増田氏は、日本産品輸出増の鍵を握るのは「クラブ制」だと語ります。

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「クラブ制というのは一言で言いますとライセンスビジネスです。育成者権と商標権の私財財産をこのクラブが管理をし、加盟した会員に対して使用権という形でライセンスを供与します。会員はこのクラブに入ることで栽培産品を得ることができ、販売は会員となった販売業者のみが許諾されるため、クラブに入らなければ生産も販売もできないという仕組みになっています」

「クラブに入るには厳しい契約条件を設定されている場合がほとんどで(中略)また、苗木の出回り量なども会員の皆様から報告していただくことで全体量を把握し、必要以上の価格競争も起きないようなコントロールを行います。(中略)つまりクラブ制は厳格な品質、企画基準を遵守させることが重要で、知財は保護だけではなく有効に活用されてこそ価値が実現されるものであると考えております」

最後に増田氏は、日本の農業の維持継続のためには、輸出拡大が非常に重要で、育成者権と商標を活用するビジネスモデルの構築を現在取り組んでいると語りました。


佐藤憲司氏:「農畜産物等輸出の現状とJA宮崎経済連の取り組みについて」

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佐藤氏は、所属するJA宮崎経済連香港事務所の業務について解説したあと、香港小売市場のプレイヤーマッピングを参加者に示しながら、香港市場の現状を語りました。 「弊社は全農香港のお仕事もしながらJA宮崎経済連の商品を全農香港産の流通網に乗せて営業販売をさせていただいております。活動内容は宮崎県の農畜産物の現地販売及びそれにかかる販売網構築、また全農インター香港との協業による現地香港オペレーション機能の構築を行なっています」

「図の上から富裕購買層、中級購買層、一般購買層のように分かれていますが、要は販売しているものの単価が高い順です。(中略)ここで一番大きなポイントは左側のデイリーファームという会社とその次にあるA Sワトソングループです。実はこの2社で香港の小売マーケットの80%のシェアを持っています。そのため店舗数もとても多いです。従って、ここでどれだけ日本の商品を販売できるかというところが鍵になります」

香港の流通市場と日本市場との違いと課題を具体的に語った佐藤氏は、香港市場への販売において自ら取り組まれた施策とその成果を紹介しました。 「一つ目が、現地の輸入卸販売事業者となってスーパー/小売り、飲食店への販売供給を開始することです。販売商材は主に青果物、鶏卵、米、加工食品など、ほぼ農産品の全てを扱っております。販売先は現地の輸入卸事業者さん、スーパーマーケットさ ん、小売店さん、飲食店さん、ネット通販事業者さんなどに販売しております。そして二つ目は現地倉庫における品質仕分け、パッキング、裏ラベル貼布作業受託体制の構築です。最後に三つ目は自社輸入便構築です。これによって価格影響折衝力と成約率がかなり上昇しました」

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最後に佐藤氏は、「産地から港/空港への物流構築」「品質仕分け/流通加工(パッキング)スキームの機械化」「B品/ギャップ品の加工商品化」という将来の課題解決に向けた改善案を挙げ、抱負を語りました。

質疑応答の時間では、ファシリテーターの納口氏から三者への鋭い質問が寄せられ、視聴者に新たな気付きを与えるものとなりました。


八重洲塾の名前の由来

現在は東京駅の東側を指す地名となっている「八重洲」。
この地の名は、江戸時代に通訳として徳川家康に仕えたオランダ人「ヤン・ヨーステン(1556-1623)」の屋敷があったことに由来しています。

ヤン・ヨーステンを生んだオランダは、日本が見習うべき農業大国であり女性の社会参画が積極的な国としても知られており、文化発展の礎となったこの地で「女性の活躍」や「農業」学びを発展させていきたいという想いをこめて『八重洲塾』という名前をつけました。

(主催:株式会社アグリインキュベーター、共催:一般社団法人未来農業創造研究会、協力企業:イオンコンパス株式会社・マイファーム株式会社・イーサポートリンク株式会社)


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