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会議室スタッフ通信|学びと交流を深める!『第41回八重洲塾』開催レポート

学びと交流を深める!『第41回八重洲塾』開催レポート


学びと交流を深める!『第41回八重洲塾』開催レポート

テーマは「SDGs:つくる責任 つかう責任」

「素敵な未来農林水産業への、架け橋」を目指す、株式会社アグリインキュベーターが主催する「八重洲塾」では、SDGsの問題解決について最先端で活躍する方々を講師に招き、新しい時代の姿を模索しています。

SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」では、2030年までに小売や消費レベルで、世界全体の1人当たりの食料廃棄を半減させ、生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させることが掲げられています。41回目となる今回は、株式会社日本フードエコロジーセンター 代表取締役の高橋巧一氏をお迎えし、「食品リサイクルの現状と今後」についてご講演いただきました。


高橋巧一氏 :「食品リサイクルの現状と今後」

高橋氏は、「食品ロスの削減には発生抑制が一番大切」としたうえで、資源の少ない日本においては食品廃棄物の有効活用も重要だと語り、主要な食品リサイクル手段として以下の3つの方法を紹介しました。

①飼料化
「食品リサイクル法において優先順位の第一位になっているのが「飼料化」です。農水省では食品リサイクルでできた飼料に対し、「エコフィード」という言葉を使っています。現在では「エコフィード認証」という認証制度を踏まえ、安全性や品質を確保したうえで取り組むのが主流です。(中略)オランダ、ドイツ等に訪れていますが、エコフィードの技術はおそらく日本がナンバーワンです」

②堆肥化
「飼料化より幾分取り組みやすいですが、塩分・油分の多さは阻害要因となりますし、なんでもかんでもは入れられません。好気性菌が生きられるような切り返しや、おがくずを選定して入れるというのをうまくやらないと良い堆肥ができませんし、良い堆肥でなければ使ってもらえません。もう一つの大きな課題は、堆肥は毎日使うわけではないということです。毎日出る廃棄物を堆肥化しては余ってしまいます」

③バイオガス化
「食品廃棄物をメタン発酵させることでバイオガスを取り出し、それを使って発電して固定価格買取制度(FIT)で売電する、といった取り組みが最近多く見られます。メリットは油分・塩分等の許容範囲が広く、食べ残しの再利用がしやすいこと、デメリットは設備投資の大きさです」


食品リサイクル事業のビジネスモデル

農水省・環境省が認定している食品リサイクル工場(登録再生利用事業者)は全国に約160カ所ありますが、このうち単体で黒字化しているのはたった1割だと高橋氏は指摘します。その食品リサイクル工場ではどのような工程で、リサイクル化を行っているのか、高橋氏が代表取締役を務める株式会社日本フードエコロジーセンターでの事例で解説しました。

①食品循環資源の搬入:約30社の提携先となっている食品会社や食品リサイクル事業者から、同社専用の保冷車で原料を集める。
②計量:原料を計量する。食品会社の会社名とバーコードが貼付された容器を用いて、原料のトレーサビリティーを管理できる仕組みを構築。
③原料投入:計量後、原料は順番に投入される。容器は高圧洗浄機で洗浄して返却。
④選別作業:異物が混入していないかどうか、人の目や金属探知機を使って除去。
⑤破砕:破砕機で原料を粉砕すると、食品の7〜8割は水分のため液状になる。
⑥殺菌:液状化した原料を加熱して、サルモネラ菌や大腸菌などの病原性を持つ細菌を殺菌する。
⑦乳酸発酵処理:殺菌後、冷却・発酵タンクに移し撹拌しながら温度を冷ます。乳酸菌による発酵で乳酸が生じpHを4程度にすると、病原性を持つ細菌の繁殖が抑えられ保存性が保たれる。
⑧:ブタの飼料:液状化した飼料はブタの餌として活用される。


付加価値のある商品を、食品リサイクルで生み出す

株式会社日本フードエコロジーセンターで確立されたリサイクル方法によって、食品会社からは原料を仕入れると同時に処理費を受け取り、加工した飼料を販売して利益を出せるようになり、「雇用を生み出し、経済を回しながら環境負荷を減らしていける」ビジネスモデルを構築できるようになったといいます。同社のもう一つの特徴が、食品をリサイクルしながら付加価値のある商品を生み出す「食品リサイクルループ」の構築です。

「10年前くらいのことですが、われわれは当時から小田急グループのスーパーや百貨店、食品工場のリサイクルのお手伝いをしていました。飼料を食べさせて育てた豚に、小田急グループが地球環境に優しい豚にちなんで「優とん」というブランド名をつけ、スーパーや百貨店で販売しました。(中略)こうした取り組みは、『小田急グループが食品リサイクルループに積極的に取り組んでいるのだ』という沿線の消費者の方々への訴求につながりました。さらに、この「優とん」はリピーター率が高く、発売開始から10年以上たった今も圧倒的なファンがついています」

同社ではこのような取り組みが「サーキューラー・エコノミー(循環型経済)」につながるとして、事業としてコーディネートを行っているといいます。


食品リサイクルビジネスを成功へ導くポイントとは何か

高橋氏は最後に、事業化しにくいといわれた食品リサイクルビジネスを成功に導くポイントについて、自らの経験を元に次のように語りました。

「10年前くらいのことですが、われわれは当時から小田急グループのスーパーや百貨店、食品工場のリサイクルのお手伝いをしていました。飼料を食べさせて育てた豚に、小田急グループが地球環境に優しい豚にちなんで「優とん」というブランド名をつけ、スーパーや百貨店で販売しました。(中略)こうした取り組みは、『小田急グループが食品リサイクルループに積極的に取り組んでいるのだ』という沿線の消費者の方々への訴求につながりました。さらに、この「優とん」はリピーター率が高く、発売開始から10年以上たった今も圧倒的なファンがついています」

「私がこの20年くらい食品リサイクルの取り組みをする中で、一番思うのは食品リサイクルにはたくさんのステークホルダーがいるということです。その中で取り組みが長続きするコツは、『いかにステークホルダー全てがWIN-WINの関係を構築するか』です。また、コーディネーターやオーガナイザーといった専門家がステークホルダーを横断的に機能させ、連携をとることが重要です。エコフィードにしてもバイオガスにしても専門家が必要です。また、私が見てきた事例からも、機械まかせ、プラントメーカーに頼り切り、ではなく、『専門家の正しい知識や経験といったソフトやノウハウを活用すること』が重要です」

学びと交流を深める!『第41回八重洲塾』開催レポート


八重洲塾の名前の由来

現在は東京駅の東側を指す地名となっている「八重洲」。
この地の名は、江戸時代に通訳として徳川家康に仕えたオランダ人「ヤン・ヨーステン(1556-1623)」の屋敷があったことに由来しています。

ヤン・ヨーステンを生んだオランダは、日本が見習うべき農業大国であり女性の社会参画が積極的な国としても知られており、文化発展の礎となったこの地で「女性の活躍」や「農業」学びを発展させていきたいという想いをこめて『八重洲塾』という名前をつけました。

(主催:株式会社アグリインキュベーター、共催:一般社団法人未来農業創造研究会、協力企業:イオンコンパス株式会社・マイファーム株式会社・イーサポートリンク株式会社)


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